2014年08月19日 ニュースブログかるた全般花札

みなさんこんにちは。
広報の藤澤です。
宜しくお願い致します。

 

花札の謎シリーズも、早くも11回目となりました。

細かな部分の(おかしな所)は、大目に見ていただいて、早速始めましょう!!!

 

 

今回は、『桜に幕』

言わずとしれた、3月札です。

 

この幕、桜の絵と対で描かれる定番中の定番。

 

花札以外にも、ありそうな構図ですよね。

実は、明治時代までの3月札の【桜に幕】の絵は、縦縞でした。

その後、横縞になったようです。

 

明治時代、初代総理大臣伊藤博文公が、花札の禁止令廃止を決めたので、花札を製造するお店が急速に増えました。

※厳密には、隠れて作っていたお店が、おおっぴらにやり始めただけなんですけどね。

 

その時、花札のお店として名を馳せていた当店に『花札を作りなさい』(と言ったかはわかりませんが)依頼されました。

 

その時の花札の復刻版が『総理大臣の花かるた』です。

 

そして、沢山の花札の注文に対応する為に、花札づくりに欠かせない版木を簡素化しました。

 

そもそも版木とは、(1色=版木1枚)という版画のルール上、色数が多く細かな絵柄ほど版木の枚数も多くなり、仕上がりの正確さや美しさなど職人の技術を要しました。

 

少しでもズレたら商品としてアウトですからね!

 

それまでの花札の絵柄は多くの色を押し重ね、複雑で美しい色を表現していたようです。

また、右側だけ色がしっかり付着し、左側は薄いとダメですよね。

筆者もハンコなどを押す際、押してみたら偏った付着の仕方に慌てる事があります。

 

熟練の職人が色を付けるとムラのない、何枚刷っても同じ仕上がりになるといいます。

その難しい部分を、簡素化(版木の枚数減)した事で、熟練の職人でなくても多くの表紙(おもてがみ 印刷済の紙)を短時間で量産できるようになりました。

 

花札が普及する大きな要因になったわけですね。

 

 

 

 

筆者が色々と調べましたが、中国から渡来した図案や不老長寿を願ったありがたい図案(が『桜に幕』の絵柄の元になったという説は、見受けられませんでした。

ただ、友禅染などの着物柄や花器の表面に施す柄のとして【桜幔幕紋(幔幕桜紋)】というのがあるそうです。

これは、平安時代から親しまれた花見の場で、木と木の間に紐を張り、そこに幕を張って花見の会場である事を表したそうです。
その際、幕の代わりに綺麗な着物を紐に掛けて、桜だけでなく着物も見て楽しんでいたようです。

その風習が江戸時代に庶民にまで広まったそうです。
その様子を、花札の絵柄に取り入れたのかもしれませんね。

さらに絵柄をよく調べましたら、明治時代前の【桜に幕】には、幕の縦縞の中に文様が…。

 

菊花紋や菱紋など、まるで有職文様(ゆうそくもんよう:平安時代から続く位の高い文様で、宮中の衣装や輿などに使われている)が描かれているように見えました。

 

そして気になるのが、幕の右端に【二匹の細長い虫が縦に並んでいる絵柄】があった事です。

 

『な、何、これ?』

 

 

武田家のムカデ陣立ようでもあるが、あれはもっとクネクネとした図案でしたし、でも頭の先に触覚らしきものがあるのは、やはり虫系のようでもあり…。

 

『わかりません!』

 

御存じの方がいらっしゃれば御教授下さい。

何も出ませんけど。

 

 

 

ただ、この3月の【桜に幕】、菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)の松王丸、梅王丸、桜丸から取った説も存在しますし、明治時代以前の幕に有職文様(らしきもの)が描かれていた事で、考案した人のこの絵柄に対するイメージが『高貴』『風雅』『気品』などの位の高い人々の宴などをイメージしていたのではないかと推察します。

 

しかし換骨奪胎(かんこつだったい:他人の作品や着想をアレンジし新しい物を生み出すこと)の得意な日本人が、元々何かの構図をアレンジした可能性は捨てきれません。

 

この『桜に幕』、凄く謎の多い絵柄です。

次回に続きます。

 

 

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