2017年02月15日 ニュースブログかるた全般囲碁・将棋花札

皆様こんにちは。

広報のFです。

よろしくお願い致します。

 

前回に引き続き、当店に舞い込んだかるたにまつわるご質問を、折角なのでブログに載せて皆様にもお伝えしていこうというこの企画。

題して『大石さんに聞いてみよう!』のコーナーです。

ドンドンドン

パフパフパフ

 

 

早速、真面目に進めたいと思います。

 

今回のご質問は、海外からの留学生の方からでした。

『大石天狗堂だけの札(競技用百人一首)に「葉」を描いていると気付きました。それは何の葉っぱですか?また何故この葉っぱを選びましたか?よかったら教えてください。』

というものです。

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お答えしましょう。

ご質問の葉は、『イロハモミジ(イロハカエデ)』です。

そして何故この葉にしたのか?

わかりません!

以上!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

本当に不明です。

 

そもそも競技用百人一首を当店が一手に製造するようになったのが、現在当店代表の祖父(7代目頭首)の頃に決めたらしく、7代目もその子の8代目も他界し、何故紅葉の絵柄を採用したかについて決めた本人に詳しい話は聞けません。

イタコさんにお願いすればわかるかもしれませんが。

 

 

代わりに、当店の役員の方や、かるた協会で長年尽力されている年配の方に話をお聞きしました。

 

昭和21年、戦前より一時途絶えていたかるた大会が復活。

同年、関東を中心に【日本かるた協会】(伊藤秀吉理事長)をはじめ、競技かるたの団体が相次いで発足しました。

明治37年からの伝統を持つ東京かるた会も、昭和25年に復興しました。

当時、関東エリアで競技かるたの札を製造していたのが、『精文館(セイブンカン)』(現在廃業)というカルタ屋でした。

東日本は精文館製、西日本は大石天狗堂製の競技かるたがそれぞれ使われていました。

当時は日本全国すべての競技かるたを大石天狗堂が作っていたわけではなかったんです。

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同じく昭和21年、北陸・近畿・東海を中心に【西日本かるた連盟】(西田直次郎理事長)が競技かるたを註文していたのが大石天狗堂でした。

昭和25年に東京かるた会の発案で競技かるたの日本一を、東西のかるた連盟で争い、日本一を決めようという話が持ちあがり、翌々年の昭和27年1月に今風に言いますトコロの【競技かるた日本一決定戦!名人は誰だ!in芝 1952】(仮称)が開催されました。

 

その昭和27年の東西戦が行われる時にすったもんだがあり、古典としての百人一首の尊重から『歴史的仮名遣い』による競技かるた札の開催が決定。

その後、前回のブログにも書きましたが『まちいでつるかな』と『まちいづるかな』の違いなどの、元々の歴史的仮名遣いの訂正版である定本が出来、大石天狗堂が定本(前回ブログを参照)を基に、新たな文言による百人一首を製造するようになりました。

しかし、訂正前(あくまで大石天狗堂チームによる改訂)の歴史的仮名遣いによるかるたを作成していた精文館製を使っていた関東のかるた会や、関西の古くからの競技者の中から『大石さんも、前の文言のままで札を作って欲しい』となったのです。

 

いつ頃まで精文館が競技かるたを作っていたのかは分りませんし、その後精文館は廃業、その後引き継いだ河出(カワデ)興産もやめられ、大石天狗堂が最終的に関東も含む日本全国の競技かるたを製造するに至りました。

さすが江戸時代から続く老舗は、ドラマがありますよね。

 

 

本題に戻り、紅葉の葉の件を検証します。

 

競技かるたの箱のデザインを皆様ご存知ですか?

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鹿と紅葉の絵柄ですよね。

これは、尾形光琳の作った幻の百人一首取札の絵柄『猿丸太夫』の札から取ったそうです。

IMG_2388のコピー

 

競技かるたの裏の【紅葉の葉の柄】も、この箱の絵柄から思いついたのかもしれませんね。

 

 

さらに検証しますと、百人一首の歌を季節ごとにまとめますと、春の歌が6首、夏が4首、秋の歌16首、冬6首です。(残りは、季節の特定できない恋の歌だったりです)

 

平安時代の頃の日本では、自然に対する畏敬の念と精神性が強く、季節の移り変わりに対し、自分の気持ちを投影して和歌に表す文化がありました。

 

特に、物悲しさ、淋しさ、人恋しさ等の人の気持ちの関係が深くなる、メランコリーの季節『秋』は、和歌の題材にピッタリだったのでしょう。

 

百人一首の季節で秋の和歌が多いのは、選者の藤原定家の好みもあったでしょうが、元々百人一首以外の和歌に、秋にまつわる物が多かったからなのでしょうね。

 

実際、京都の紅葉は昔から変わらず評判で、観光客も多いですもんね。

 

 

ですので、その『百人一首といえば秋』というイメージや、『京都といえば紅葉』というイメージから、イロハモミジの柄が採用されたのかもしれません。

 

最後は、筆者の推測になり申し訳ありません。

 

 

余談ですが、競技かるたの札の裏の紙に緑が採用されたのは、『眼に優しいように』だそうです。

さらに裏の紅葉の印刷の漢字(小倉山)が上、平仮名(をくら山)が下になるように統一したのは私です。

約10年程前になりますが、それまで一組が同じ向きなら特に問題ではありませんでした。

(ちょっぴり自慢 (´∀`*)ウフフ)

 

【シリーズ過去掲載ページ】

大石さんに聞いてみよし!『競技かるたと普通のかるたの違い?』(2018年3月7日)

大石さんに聞いてみよし!『将棋の駒って、何故高価なの?』(2018年2月22日)

大石さんに聞いてみよし!『坊主めくりに蝉丸は含みますのん?』(2018年2月19日)

大石さんに聞いてみよし!『CD収録和歌は、何首?』(2018年2月17日)

大石さんに聞いてみよし!『花札の遊び方は、他にもあるの?』(2018年2月14日)

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大石さんに聞いてみよし!『百一人一首の和歌 序歌ってスゲー!』(2017年4月4日)

大石さんに聞いてみよし!『百人一首の札の裏の紅葉の由来!』(2017年2月15日)

大石さんに聞いてみよし!『まちいづるかな と まちいでつるかな』(2017年2月8日)

大石さんに聞いてみよし!『和歌が元の和歌と違うのは何故!』(2016年7月11日)

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